揮手自茲去

もう一つの夢は心の中に。

ある時から人間は自らの死を予測するようになった。

十歳の頃の一年は人生の十分の一を占めていた。

しかし二十歳になった私の一年は今や人生の二十分の一に過ぎない。

これからの私の一年は去年より小さく、

来年は今年より短くなっていくのだろう。

時の流れが年々速くなっていくように感じるのは錯覚であると思いたい。

人生の終わり、身体の死へ向かう速さが上がることを想像すると、

寒気のする恐ろしさがそこにはあった。