揮手自茲去

もう一つの夢は心の中に。

心という器を取り扱えない君は永遠に群集の中で孤独な道化師を演じ続ける。

『まあ待て。まあ待て。話せばわかる。話せばわかるじゃないか』と犬養首相は何度も言いましたよ。若い私たちは興奮状態です。『問答いらぬ。撃て。撃て』と言ったんです。 人が人を選ぶ時に中身を評価するまでもなく、外見という入門の段階で選択肢から弾い…

二つの魂を隔て一つに纏まり存在しなくなった国

そんな国を舞台にした演劇を見終えて図書館へ向かった私はエリアスの「宮廷社会」と「文明化の過程」を自動化書庫から引き出すが、冷静に考えると一冊500ページぐらいの学術書を読み切る気力が今の僕には無いことに気づき、泣く泣く本が再び地に帰る為に用意…

コレヘトの言葉

かつてあったことは、これからもあり かつて起こったことは、これからも起こる。 太陽の下、新しいものは何ひとつない。(1:9) 熱心に求めて知ったことは、結局、知恵も知識も狂気であり愚かであるにすぎないということだ。これも風を追うようなことだと悟っ…

待人来ても既に遅い

暫くは此の度の総括に関する話題が続きますがご容赦ください。何せ、この歳になるまで直接的に告げられるという形で体裁よく失恋したことが無かった人間なので、此の度の「初体験」はとても痛く胸中に響いている。色々と私自身の過去に書いた物語の断片を思…

もののあわれ

欝々した時の「ネガティブ」な感情と、かくなる出来事の後のネガティブな感情というのは大分異なる。前者は筆も重いが、後者は何となく気持ち自体がそもそも軽くて、それでいて筆も比較的滑らかに進むのである。最初はシリーズ物の小説や漫画の最終巻を読了…

物語は唐突に始まり、去れども静かに終わる。

こうして物語は静かに終わり、音を立てることなく閉じられた冊子は棚に並ぶ一つの物語となりました。本来悲しい話であるはずが、その物語を読み終えた私は何だか晴れた空を山頂から眺めるように心地が良かった。一つの時代が終わり、我等は次の段階へ移行す…

死んだ後に残る君は、僕が読み取れる限られた君。

実は図書館の片隅には今はもうこの世に存在しない教授が生前に保有していた図書が並べられている部屋が存在する。その先生はアメリカ外交史の先生であり、特に米中関係史へ力を注がれていたことが本棚を眺めるだけで瞬時に理解できるが、アメリカや中国に関…

進路未定

助言と称して無責任に人様の人生を狂わせてはいけない。お前が知恵の実だと思って授けているものは神経を蝕む毒林檎かもしれないし、仮にそれが本物だとしても、禁断の果実を与えたがばかりに、彼らは楽園から追放されかねないのだ。 時の気まぐれで物事を安…

断捨離と学問

何かを学ぶのに学部生という四年間は余りにも短すぎる、ある人は言った。自然科学の世界では今や修士まで行くことは殆ど当たり前の状況となりつつあり、四年という限られた時間ではもはや現代の学問の最先端に追い付くことは困難な時代となっている。況して…

内田義彦「読書と社会科学」メモ

聴き上手という見出しが目に入り、心が抉られつつも借りてしまった一冊。色々思っていることはあるが即座に書けないのが僕であり、とりあえず付箋的なノリで引用してみる(気が向いたらコメントが入ります) いったい、お互い生きているもの同士、平素しゃべ…

天上の意志と私の選択

ナザレのイエスが神の子であるという話だけでも面白いのに、神の子と救いの主である神が同一であるという三位一体の教義を飲み込めず、更には彼が蘇生したならともかく復活したのは流石に信じられないと未だにキリスト教の信仰を獲得するには至っていない。 …

若き日の悩み

Twitterの方では連投をやめようと思い、あちらで落とし過ぎた呟きを切って拾って、ここに貼り付けて繋げる。特にお題があるわけでもない。 広く浅く学びを続けるよりは何か成長可能な特性を一つでも見つけて、それを深め伸ばしていく方が個性の成長と安定的…

塗って塗られてまた塗って

国政で与党が勝つと一つの民意を掲げ、次に県で現知事派が勝つと彼らも民意を掲げる、そして沖縄各地で行われる選挙の度に勝った側が民意を名乗る。しかし次の選挙ではまた引っくり返されるなど民意の代表性は二転三転しており、今や彼ら両方の民意という言…

ブルデュー「遺産相続者たち」に関するメモ

未完:起き次第、メモの内容を書きます。暫定的に引用だけ。 エキゾチック傾向 自己の適性や能力について大きな自信を持っている彼らは、文化的関心が多様なせいで、現実の、あるいは見せかけの折衷主義や、多少なりとも実りのあるディレッタント精神を示す…

昔を想い出すことは、忘れていた今を想い出すこと

「夢をもう一度主題化することによって、人間的な何かを忘却のなかから想い出すよすがにしてみたいというにすぎない。昔を想い出すことが忘れていた今を想い出すことであるような、そういう想い出しかたがありそうな気がする。」西郷 信綱「古代人と夢」 失…

小言、新世界に於いて

好きな御節料理は何かと必修英語の先生に問われたが、僕は生まれて一度も正月に御節料理なるものを食べた記憶がないので軽い嘘を付いた。栗きんとん自体は食べたことがあるので正確には嘘ではない気もするが、文脈的に考えて御節料理という集合の中から比較…

不可逆的に失われた時を求めて

植物人間を不可逆的に意識を失った人間と表現している本に出会い、単なる厳密な定義的表現に過ぎないとは分かっていても、私の心に響くレトリックを感じてしまう。例えば発達障害を持った人々が自らを非定型と呼び、そうではない人々を指して定型発達と呼ぶ…

私は、ある夢の中を歩いていた。

ある幻想、というより理想を夢見ていたが、所詮は夢でしかない。夢は夢のまま終わりを迎え、壊れかけたパソコンの前で喧しい送風を聞きながら時間を浪費する現実に強制送還される年の暮れ、恥や罪悪感というのが年末にピークになるとも思わず、忘年の必要性…

爲憐幽獨人 流光散衣襟

記事の題は眞山民「山中の月」より、タイトルにしておいて勝手だが特に内容は関係ない五篇、僕は古人と同じく月に憧れたり美しさを想いはしても、古人たちのように仲良くすることはできないのだから。国語力が低いのによく、こういった恥ずかしいものを公然…

言語と国家

半年以上も前に書いた文章をずっと寝かせたままだったので、題意は覚えていないが形にして投稿してみる… 詩歌を始めとする国文学を読んだ後には必ずかく思う、日本語は美しいと、日本語は今日まで生きることに成功した言葉である。この世界では多くの言葉が…

攻守交替

感情が昂っている際に与えられる処方は、気持ちを言葉で書き残すという行為である。希薄な人間関係しか持たない者は私的なことを吐き出す相談する相手がいないので、Twitterで色々と綴ってしまうのであるが、そういうことばかりしていると常に根暗な存在とし…

地下に眠る学徒のメモリアル

本学を卒業した学部生の卒業論文は図書館地階に存在する自動化書庫へ収納されることになっているが、その光景を思い浮かべてみたら、それは学生達の霊安室のように思えた。数年前は大学の中で活動していた生命体に代わり、そこには一冊の本となった彼らが安…

生きて息る者

じっと佇んでいるだけで汗が湧いてくる東京の夕暮れ、周囲の人々はこれでも今日は普段より涼しい日であると私に言い聞かせるが、今まで東京より平均気温が15度も低かった都市に二ヶ月も住んでいた身として、気温差というのは時差ボケ以上に苦しいものがある…

ポエム国家群

ヴィタディア -新しきを取り入れる港町の奥では、古きものを守り続ける山が聳え立つ。 フィーナレ -それは終わりの地、我らの信ずる神は西方で死に、東方に於いて再び生まれ変わる。我らは疲れし神を癒す供応者なり。 リヴァーリエ -「夢」を追い求め、冒険…

打倒を伴わない、もう一つの道

為政者がたとえ愚かだったとしても、その天下が暫く継続すると分かっているのであれば、為政者を不用意に煽り、暴走を加速させるのではなく、為政者と取引をすることによって何かを守る、そういう人々が主流になれとは言わないが、幾らか存在できないものだ…

トロントの朝は早く、夜は遅い。

つまりは夜が短いのである。 英文法をすっかり忘れているなと思いつつ(そもそも一度として覚えたことがあったのだろうか)プレースメント試験を終えて、色々と説明を聞き、最後に学生カードを作って帰路に入る。 物をよく落とす特性を遺憾なくカナダでも発…

青天白日満地虹旗

閑話休題 食べ物を求めるべくキャンパスを歩き回り、セントラルモールという飲食店街にたどり着けた訳であるが、その手前のフードコートには大きな虹の旗が垂れ下がっていた。そういえば先日、アメリカ最高裁で同性婚が合憲であるという判断が出されたので、…

直接民主主義と議会主義の均衡

小話 機内にいる最中、私は民社党の元書記局メンバーが書いた論文集を読んでいたのだが、社会党や共産党に対する怨念の強さを感じた。これが7年前、解党から14年後に書かれているのだから相当なものなのだろう。 彼らはデモといった直接行動は議会主義の…

君はいつも私の先にいる

インプットが少なくて記事が書けないと今まで言訳を続けてきたが、いざ多くのインプットが濁流にように入ってくると、それはそれで頭の処理が追いつかず、記録するのが大変である。というのも私は春学期を終えて、三カ月だけお世話になった寮を後に、語学留…

留年受容へのプロセス

第一段階「否認」 学生は大きな衝撃を受け、自分が留年になることはないはずだと否認する段階。「仮にそうだとしても、救済措置が行われて自分は助かるのではないか」といった部分的否認の形をとる場合もある。 第二段階「怒り」 なぜ自分がこんな目に遭うの…