揮手自茲去

もう一つの夢は心の中に。

2016-01-01から1年間の記事一覧

心という器を取り扱えない君は永遠に群集の中で孤独な道化師を演じ続ける。

『まあ待て。まあ待て。話せばわかる。話せばわかるじゃないか』と犬養首相は何度も言いましたよ。若い私たちは興奮状態です。『問答いらぬ。撃て。撃て』と言ったんです。 人が人を選ぶ時に中身を評価するまでもなく、外見という入門の段階で選択肢から弾い…

二つの魂を隔て一つに纏まり存在しなくなった国

そんな国を舞台にした演劇を見終えて図書館へ向かった私はエリアスの「宮廷社会」と「文明化の過程」を自動化書庫から引き出すが、冷静に考えると一冊500ページぐらいの学術書を読み切る気力が今の僕には無いことに気づき、泣く泣く本が再び地に帰る為に用意…

コレヘトの言葉

かつてあったことは、これからもあり かつて起こったことは、これからも起こる。 太陽の下、新しいものは何ひとつない。(1:9) 熱心に求めて知ったことは、結局、知恵も知識も狂気であり愚かであるにすぎないということだ。これも風を追うようなことだと悟っ…

待人来ても既に遅い

暫くは此の度の総括に関する話題が続きますがご容赦ください。何せ、この歳になるまで直接的に告げられるという形で体裁よく失恋したことが無かった人間なので、此の度の「初体験」はとても痛く胸中に響いている。色々と私自身の過去に書いた物語の断片を思…

もののあわれ

欝々した時の「ネガティブ」な感情と、かくなる出来事の後のネガティブな感情というのは大分異なる。前者は筆も重いが、後者は何となく気持ち自体がそもそも軽くて、それでいて筆も比較的滑らかに進むのである。最初はシリーズ物の小説や漫画の最終巻を読了…

物語は唐突に始まり、去れども静かに終わる。

こうして物語は静かに終わり、音を立てることなく閉じられた冊子は棚に並ぶ一つの物語となりました。本来悲しい話であるはずが、その物語を読み終えた私は何だか晴れた空を山頂から眺めるように心地が良かった。一つの時代が終わり、我等は次の段階へ移行す…

死んだ後に残る君は、僕が読み取れる限られた君。

実は図書館の片隅には今はもうこの世に存在しない教授が生前に保有していた図書が並べられている部屋が存在する。その先生はアメリカ外交史の先生であり、特に米中関係史へ力を注がれていたことが本棚を眺めるだけで瞬時に理解できるが、アメリカや中国に関…

進路未定

助言と称して無責任に人様の人生を狂わせてはいけない。お前が知恵の実だと思って授けているものは神経を蝕む毒林檎かもしれないし、仮にそれが本物だとしても、禁断の果実を与えたがばかりに、彼らは楽園から追放されかねないのだ。 時の気まぐれで物事を安…

断捨離と学問

何かを学ぶのに学部生という四年間は余りにも短すぎる、ある人は言った。自然科学の世界では今や修士まで行くことは殆ど当たり前の状況となりつつあり、四年という限られた時間ではもはや現代の学問の最先端に追い付くことは困難な時代となっている。況して…

内田義彦「読書と社会科学」メモ

聴き上手という見出しが目に入り、心が抉られつつも借りてしまった一冊。色々思っていることはあるが即座に書けないのが僕であり、とりあえず付箋的なノリで引用してみる(気が向いたらコメントが入ります) いったい、お互い生きているもの同士、平素しゃべ…

天上の意志と私の選択

ナザレのイエスが神の子であるという話だけでも面白いのに、神の子と救いの主である神が同一であるという三位一体の教義を飲み込めず、更には彼が蘇生したならともかく復活したのは流石に信じられないと未だにキリスト教の信仰を獲得するには至っていない。 …

若き日の悩み

Twitterの方では連投をやめようと思い、あちらで落とし過ぎた呟きを切って拾って、ここに貼り付けて繋げる。特にお題があるわけでもない。 広く浅く学びを続けるよりは何か成長可能な特性を一つでも見つけて、それを深め伸ばしていく方が個性の成長と安定的…

塗って塗られてまた塗って

国政で与党が勝つと一つの民意を掲げ、次に県で現知事派が勝つと彼らも民意を掲げる、そして沖縄各地で行われる選挙の度に勝った側が民意を名乗る。しかし次の選挙ではまた引っくり返されるなど民意の代表性は二転三転しており、今や彼ら両方の民意という言…

ブルデュー「遺産相続者たち」に関するメモ

未完:起き次第、メモの内容を書きます。暫定的に引用だけ。 エキゾチック傾向 自己の適性や能力について大きな自信を持っている彼らは、文化的関心が多様なせいで、現実の、あるいは見せかけの折衷主義や、多少なりとも実りのあるディレッタント精神を示す…

昔を想い出すことは、忘れていた今を想い出すこと

「夢をもう一度主題化することによって、人間的な何かを忘却のなかから想い出すよすがにしてみたいというにすぎない。昔を想い出すことが忘れていた今を想い出すことであるような、そういう想い出しかたがありそうな気がする。」西郷 信綱「古代人と夢」 失…

小言、新世界に於いて

好きな御節料理は何かと必修英語の先生に問われたが、僕は生まれて一度も正月に御節料理なるものを食べた記憶がないので軽い嘘を付いた。栗きんとん自体は食べたことがあるので正確には嘘ではない気もするが、文脈的に考えて御節料理という集合の中から比較…

不可逆的に失われた時を求めて

植物人間を不可逆的に意識を失った人間と表現している本に出会い、単なる厳密な定義的表現に過ぎないとは分かっていても、私の心に響くレトリックを感じてしまう。例えば発達障害を持った人々が自らを非定型と呼び、そうではない人々を指して定型発達と呼ぶ…